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建物診断

① 建物診断とその必要性

私たちが生活するマンションは堅牢な鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリートでできていますが、これらの躯体は私たちが思うほど堅牢ではなく、毎年少しづつ劣化していきます。この劣化の程度は防水・シーリングなどの劣化の有無や程度の差によってもさらに変化します。
私たちの住むマンションをなるべく長持ちさせる為、これら種々の劣化の兆候を捉えて、適切に対処する必要があります。この建物の劣化の程度を調査するのが「建物診断」で、この診断により修理計画を立て、必要部分の修理を行うのが「大規模修繕工事」です。
それでは、順を追って「建物診断」についてご説明しましょう。

② 建物診断方法

弊社では極力少ない費用で調査致します。この為、足場を掛けずに調査を実施致します。
建物の経年、立地条件、規模、形などを参考にして、大規模修繕工事の目安を立てることが目的です。
調査は下記の方法で実施致します。
 1.建物・躯体の外装面や床、天井面などの「目視」による診断。
 2.「打診棒」による診断。
 3.「触診」による診断。
 4.躯体のコンクリートから「コア抜き」を実施し、中性化の程度を測定する試験。
 5.塗装面やタイル面の接着強度を機械的に測定する試験。
 6.シーリングの劣化状況を測定する試験。
上記6項目の調査及び試験を弊社の標準的な建物診断としております。
他にも種々の調査方法がありますが、いずれも足場を掛けて行う調査なので、経済的とは言えません。
上記調査を各項目毎に分けてご説明しましょう。

③ 建物・躯体の外装面や床、天井面などの「目視」による診断。

文字通り、肉眼で見て検査することを「目視検査」と言います。
塗装面やタイル面の表面の「剥離」或いは「浮き」、「汚れ」、「水漏れ」、「ひび割れ」、「白華現象(エフロエッセンス)」、「躯体爆裂」など、目視検査だけでもかなり多くのことが判明致します。
実例を画像でお見せしましょう。

「外装面に発生した塗膜の剥離、膨れ」


「内部階段壁面の窓周りに発生した塗膜の剥離(外部からの漏水によるものと考えられます。)」


「 バルコニーの天井面の亀裂。(この亀裂から雨水が滲みこみ左側の壁に白華現象が現れています。)」


「爆裂」

亀裂がさらに進むと鉄筋が錆びて膨張します。
鉄筋の体積が増えると結果としてコンクリートを押し出し、崩れてしまう現象を爆裂と呼んでいます。

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④ 外装面、床、壁面の「打診棒」による診断。

棒の先端に丸い玉がついている「打診棒」という道具で外壁タイル面などを検査します。
タイル面を打診棒で軽く叩いた時の音でタイルの「浮き」を判断します。


「打診棒による検査」


「コンクリートとタイルの接着構造」
タイルが一枚だけ浮いているのか、数枚連続して浮いているのか?/タイルとモルタルの接着面が浮いているか?/モルタルと躯体のコンクリート部分で剥離があるか?
この打診棒でおよその判断が可能です。 モルタル下地の塗装面についても同様に判断することができます。
「目視」による亀裂や白華現象と合わせて劣化を総合的に判断する必要があります。

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⑤ 外装面、壁面等の「触診」による診断。

「触診による鉄部の塗膜の検査」
出入り口扉に施工された塗装膜の表層劣化(チョーキング現象)を触診によって検査しているところです。
この写真では塗膜と同色の粉の発生が見られますが、塗膜色に関係なく白色の粉が発生する場合があります。直接雨が当たる外部に面した鉄製部分は要注意です。この現象が起こると錆が発生し、腐食が始まります。特に枠部分に注意が必要です。


「触診による外壁塗膜の検査」
外壁塗装面にも同様にチョーキング現象が起こります。表面トップコートの劣化により、「汚れ」や「カビ」が付きやすくなったり、防水効果が無くなってしまいます。
  

「触診による外壁張りタイル目地モルタルの検査」

触診ではこのほかにも「防水コーティングの膨れ」なども検査します。
また、粘着テープを使って塗装面の剥離を検査する方法もあります。

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⑥ コンクリートの中性化測定試験

「コア抜きによるコンクリート中性化の検査」
コンクリートは打設後セメントの水和物である水酸化カルシウムなどによって強いアルカリ性を示します。
このアルカリ性であることが鉄筋の酸化・腐食を防いでいます。
しかし、コンクリート表層から次第に空気中の二酸化炭素(炭酸ガス)と反応し、水酸化カルシウムが炭酸カルシウムに変化することでアルカリ性が低下していきます。
 Ca(OH)2+CO2 → CaCO3+H2O
炭酸化が鉄筋の表面まで達すると鉄筋が腐食しやすい状態となり、鉄筋が腐食すると体積が膨張する為、亀裂や剥離、爆裂を引き起こします。そうなる前に少なくとも10年に一度はこの試験を行ってコンクリートの劣化状況を検査する必要があります。


「試験方法」
 ①躯体コンクリート表面の測定箇所をダイアモンドコアドリルにより深さ約20mmの切り込みを入れて
  抜き取りサンプリングします。


 ②抜き取ったサンプルの切削粉を取り除き、フェノールフタレイン溶液を吹きかけてその反応を観察します。
 

③化学反応により赤色に呈色した層(アルカリ性領域)から、呈色していない層(中性化領域)の間隔
  (中性化深さ)をスケールで測定します。


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⑦ タイル面・塗装面接着強度測定試験

タイル面及び塗装面の機械的接着強度を測定します。
強度だけでなく、下地のどの部分で破断するかということも重要な測定項目です。
破断状況の違いによって最適な補修方法が変わってきます。


「塗装面の試験方法」
 ①写真のように、試験を行う塗装面に4cm×4cmの切り込みを入れます。


 ②4cm×4cmの鋼製アタッチメントをエポキシ樹脂系接着剤により接着します。


 ③約一時間後、単軸油圧式引張り試験機を用いて接着強度を測定します。


「張りタイル面の試験方法」
 ①写真のように試験を行うタイル面に4.5cm×9cm(タイル形状により4.5cm×4.5cm)の切り込みを入れます。


 ②4.5cm×9cmの鋼製アタッチメントをエポキシ樹脂系接着剤により接着します。


 ③約一時間後、単軸油圧式引張り試験機を用いて接着強度を測定します。


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⑧ シーリング劣化状況測定試験

シーリング(コーキング)は最も重要な防水機能を担っています。
コンクリートの劣化と並んで、シーリングの劣化が原因で発生する雨漏りも少なくありません。

「シーリング材料表面の目視検査」
まず、ヒビ割れ、チョーキングの有無を目視で調べます。


「シーリングの接着強度の確認」
カッターナイフで一部切り取り接着状況と雨漏りの確認をします。


「シーリング材料の強度劣化試験」
採取したシーリング材サンプルをダンベル型に打ち抜き引張り試験を行います。

「試験方法」
 ①採取したシーリング材をカッターナイフでスライスします。
 ②カッターでスライスしたシーリング材をダンベル型で打ち抜き、中央部を試験します。
 ③試験片を引張り試験機にかけて、破断するまで引っ張ります。

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